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ミウラ ケイコ
(こうだ建築設計事務所)
ワタナベ ナミ
(渡辺建築設計事務所)
共に一級建築士・福祉住環境コーデイネーター二級。
埼玉で住宅をメインに居心地の良い空間造りを目指しています。

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住環境相談室 We(ウイ)
‘暮らしの環境 住まいから’をテーマに様々な方向から住まいを考えます
ル・コルビジュエの「休暇小屋」
ル・コルビジュエの「休暇小屋」

フランス人の建築家、ル・コルビュジエ(日本では上野の国立西洋美術館の設計
で知られています)は南フランスのイタリア国境近く、地中海を眼下に望む急峻な
崖地沿いの保養地、リヴィエラに5坪ほどの小さな別荘を建てました。

「カップ・マルタン(カップ岬)の休暇小屋」として有名です。
       P1040365全景aa
       P1040358小屋正面a
       P1040348側面外観a
この写真はその小屋の原寸レプリカで、埼玉県行田市の「ものつくり大学」の広い構内の
一角に建てられたものです。
学生たちは事前に制作許可を得て渡仏。卒業制作として実測調査をしました。
建物全体はもちろん、壁材の割り付け、建具、建具金物、照明器具、
家具、ネジ一個に至るまで、丸ごと実測して帰り、この場所に再現しました。

    玄関 P1040361玄関a

玄関は幅70cmほどで、正面の壁に見える丸いものはコート掛けです。
正面や側面の絵はコルビジュエが描いたものの再現です。
コルビジュエは建築家以前に画家なのです。
この向こう側にトイレがあります。玄関とトイレを除くと8畳ほどの広さです。


     内部P1040337内部1a

     内部P1040347内部2
      
     天井P1040338天井1

     天井P1040340天井2

     家具P1040346家具a

ベッドと机、収納家具などで結構いっぱいです。
3方に窓がありますが、形も大きさも様々です。
カラフルに塗装してあるように見えますが、赤と緑、青と黄色、のような補色と黒のみです。
食事やシャワーは隣家のレストランを利用していたそうです。

       P1040342窓1
       P1040341窓扉つまみ2

    窓金物P1040357窓金具b
この窓の蝶番つまみ、ネジも学生の制作です。

ル・コルビジュエは打放しコンクリートの作品が多く、この小屋のような木造建築は稀です。
1951年暮れ、コルビジュエが64歳の時に妻の誕生祝いとして設計し、1952年に完成したと言われています。
眼下に望む地中海が大好きで、晩年はここで過ごすことも多かったようです。


見学終了後、大学構内を少し案内していただきました。

ものつくり大学は2001年に開校しました。
      P1040366構内1a
その時はこの辺りは何もなかったそうです。
      P1040368パーゴラa
この造園も、ベンチも、石積みの柱やパーゴラも、すべて学生の作品で、
毎年増えていくのだそうです。
      P1040373作品群2a

      P1040376作品群1a
この2階建ての家も卒業制作です。時代劇のセットのようですね。
住むこともできるそうですが、確認申請を取っていない仮設建物なので、
住んではいけないということでした。

      P1040378作品3a
      P1040379作品4a

毎年のように技能五輪で優勝する学生を輩出しています。
これからどれだけ作品が増えていくのでしょう (kei)




装飾
装飾

東京都港区に「チューダー様式」といわれる縦を強調したデザインの木造洋館があります。
  外観 A P1030973外観a
      B P1030967外観a

「チューダー様式」とは、イギリスの中世に生まれた建物や装飾の様式名で、
ゴシック様式を簡略化したものです。

岐阜の実業家渡辺甚吉氏は大学卒業後、友人の建築家、遠藤健三氏と共に
1年間欧州を遊学し,イギリス縦断をしたときに触れたチューダー様式の建築に魅せられました。
帰国後すぐに結婚する予定だった甚吉氏は、
新婚生活と当時学生だった3人の兄弟が住むための住居の設計を始めました。

昭和9年に建てられ、戦争が激しくなるまでの10年程しか住んでいません。
敗戦後は米軍に接収、その後大使館などに使われ、
結婚式場になったりドラマの撮影にも使われたのですが、
いよいよ解体されることになりました。

   玄関 C P1030983玄関a

玄関はこじんまりとしています。
中に入ると天井や壁、梁などの装飾に驚かされます。
玄関吹き抜けD P1030906玄関吹き抜けa
         E P1030892玄関吹き抜けa

応接室の暖炉です。結婚式場になっていた時はチャペルとして使われていたそうです。
天井や梁の装飾は見事なものです。
   応接室 F P1030894応接室a
        G P1030901応接天井a

食堂の天井には圧倒されます。しっくいで造られています。
       H P1030909食堂天井a
       H”P1030956食堂a

館内はセントラルヒーティングで、吹き出し口は手の込んだグリルが設けられています。
   グリルM P1030960ラジエーターグリルa

浴室はタイル張りで、ここにも吹き出し口があり立派なグリルがはめ込まれていました。
       K P1030947浴室a
       L P1030948浴室ラジエーターa

これらのラジエーターグリルをはじめ、ドアノブ、コンセントプレート、照明器具など
すべてチューダーでデザインしてあります。

階段手すりの彫刻
       O P1030941階段手すりa
       P P1030944階段手すりa
       N P1030920階段手すりa

ステンドグラス
       R P1030917廊下ステンドグラスa
       Q P1030913食堂窓a
       S P1030924吹き抜けステンドグラスa

チューダー様式は昭和の初期に一番好まれた洋館のスタイルですが、
この寝室はロココ様式です。
    寝室 J P1030934寝室a
 寝室天井 I P1030929寝室天井a

女性が主に使用する寝室や化粧室は穏やかなロココ様式でした。
荒々しいチューダー様式では強すぎるのでしょうね。

この建物は現在解体中です。
なんとか保存したいという声が大きく移築保存が検討されていましたが、
費用の調達が難しくて、未だ移転先が決まっていません。
ある建設会社が解体費用を負担して、一時保管することまで決まっています。
早く移転先が決まって
もう一度使われるようになることを切に願っています。(kei)


三重塔
三重塔

都内に三重塔を建てているお寺があります。
文京区にある浄土宗の「清林寺」です。
     外観1
 ちょっとトラックが邪魔ですが、正面がお寺の本堂で右側が庫裡です。

     全景
 小さなお寺で敷地もそれほど広くありません。

ご住職は飛鳥様式の塔が大好きなのだそうです。
現在、奈良明日香地方で見ることのできる明日香様式の塔は、
斑鳩三塔と呼ばれている法隆寺五重塔、法起寺三重塔、法輪寺三重塔があります。
清林寺三重塔は法輪寺あるいは法起寺の塔に倣ってその約80%のプロポーションで
造ることになりました。
もう20年以上前のことです。

現在2層目の屋根の下地まで出来上がり、
先日、いよいよ心柱を入れることになり、見学に行ってきました。
     クレーン車
クレーンで心柱を吊り上げ、屋根の上から入れていきます。
作業用に仮屋根が造られているので全容が見えなくて残念です。
 
     心柱b、
     
     心柱a
     
     心柱b
柱と柱をつなぐ継手の部分。柱は3本に分かれ繋いでいきます。
ここがきっちり締まるように柱をゆさゆさ揺すったり
上部を大きな小槌で叩いたりしました。

     心柱c
 2層目の足場板から下を覗いたところです。

木曽檜の心柱で、柱の直径は約80㎝、長さ20m程で、8角形に削ってあります。

     心柱足元
足元は8角形に削った御影石に固定されます。
五重塔の心柱は上からぶら下がっている、と言われることがよくありますが、
実際にはきちんと固定されていることが多いそうです。
長い間に塔の重みでだんだん下がってくるため、
クレーンで持ち上げて下端を削り、また固定する、という作業をやるそうです。
その時のための工夫がされています。

今回は2本目まで入れました。
これから3層目の屋根を作り、3本目の心柱を入れるのは5年後だそうです。
工事途中は仮囲いや足場板、養生シートなどがあるためなかなか全容が見えません。
竣工後の勇姿を想像しつつ、時々見学に行くのが楽しみです。(kei)


妻沼聖天山
妻沼聖天さま

あけましておめでとうございます。

新しい年の始まりに、妻沼の聖天さまをご紹介します。
JR高崎線の熊谷駅からバスで25分。

〝妻沼〟と書いて〝めぬま〟と読みます。

御本殿の「歓喜院聖天堂」は埼玉県で建造物としては唯一の国宝です。
そして総門の「貴惣門」は国指定重要文化財です。

  貴惣門貴総門
       P1030269貴惣門2a

 1847年(弘化4年)起工です。
貴総門妻側屋根
  屋根の形が特徴的です。門の横に回って見上げてください。
    
    本殿正面
       外観
残念ながら彩色の補修工事中でした。
平成23年に保存修理工事は完成しているのですが、南側と西側は日差しが強いために
劣化が進み、再度補修をしています。
日光の東照宮にも負けない素晴らしい彫刻と彩色です。
    彫刻彫刻
       P1030293彫刻b
国宝なのにこんなにも近く見ることができます。
   子供達P1030294子供達a
   獅子舞P1030299獅子舞a

神様が囲碁をしていたり、子供達が楽しそうに遊んでいます。
彫刻の題材は平和そのものですね。庶民の祈りの表れのようです。
そして、ご本尊の妻沼聖天様は由緒の正しさでは日本最古の聖天尊像として知られ、
縁結びはもちろん、家内安全、商売繁昌、厄除開運、交通安全などの
霊験新たかということです。初詣に行ってみませんか?(kei)

深谷町歩き
旧七つ梅酒造

歴史ある造り酒屋の「七つ梅酒造」。
2004年に廃業しましたが、その敷地内の建物は様々な使われ方をしています。
空き家がどんどん増えている昨今、
人が住まなくなり傷みが進んでしまって崩壊寸前の建物も多く見られます。
そんな中、立派に再生して使っている例をご紹介します。
     七つ梅
1694年(元禄7年)から300年以上続いた造り酒屋です。
廃業後に、残された建物を “NPO法人 住まいとまち創り集団 木犀”が調査に入り、
耐震補強と最小限の改修をして店舗や映画館として使われています。
     七つ梅
     七つ梅
     七つ梅
     七つ梅
深谷シネマは市民投票で上映作品を決めているそうです。

     七つ梅
古本屋さんでは新刊を除く約5000冊の本が市民の寄贈ということです。
2階では寺子屋も開講しています。

母屋、酒蔵、煉瓦倉庫などが市民や観光客の新名所として
生き生きと再利用されています。

深谷市内の再開発が進み、広い都市計画道路が縦横に走り、
深谷産の煉瓦で作られた建物が次々となくなっていることが残念です。
七つ梅酒造の跡地は歴史遺産として、立派に再生・活用されていることに
感謝し、運営している人たちに拍手を送ります。


深谷商業高校

次は国登録有形文化財の保存・再生です。
     深谷商業
大正11年に建築された埼玉県立深谷商業高校です。
校歌には「巍峨壮麗の2層楼」とうたわれた和洋折衷の総二階建。

平成23年に大規模保存修理工事が始まりました。
修理前の外壁の色は白に近い肌色で、窓枠は煉瓦色でした。
保存修理にあたり、現場で外壁の塗膜を削り落としてみたり、
竣工時の白黒写真をコンピューターでカラー解析した結果、
創建当初の色はライトグリーンの濃淡の組み合わせであることが判明しました。
今はコンピューターでそんなことがわかるんですね。
当然、創建当初の色で復元されました。

大正12年の関東大震災や、昭和に入ってからのたび重なる大地震で、
公共の建物は耐震や不燃化など安全性が求められ、
木造の記念館などは積極活用がされなくなっています。

そんな中、同窓会を主軸とした学校関係者による保存活動が始まり、
「地域の文化・歴史を知るうえで貴重な遺稿」という学術的評価がなされ
国登録有形文化財の指定を受けることができました。
     深谷商業
     深谷商業

この建物は今も教室や記念館として使われています。
こういう建て物で勉強している生徒たちをうらやましく思います。(kei)